デッサン教室  

 玉野に転勤したら何か新しい趣味を持とうと考えていた。趣味は前からやりたかった油絵と決めていた。A院長が雑談の折にそれを聞かれて、「この街には 立花博先生という有名な絵の先生がおられて、確か教室を開かれているよ、紹介してやろう」と簡単にその場で電話をされて段取りされてしまわれた。
 初対面の挨拶もそこそこに先生から「油絵をする前にまずデッサンから始めましょう」ということで、それもそうだと名得、木炭を片手にデッサン開始。 最初の日に与えられた課題は透明なプラウチックの立方体と円柱。「陰影も背景も無用。輪郭だけ描きなさい」という事で、なんだ簡単じゃん、こんなの 2時間もあれば終わるよ。「ホー、初心者にすれば群を抜いた実力ですね素晴らしい」という先生の声を期待しつつやがてほとんど完成。そこに先生が来られて、 「こことここがおかしい……」、よっく聞いてみると、なんだ全部おかしいという事じゃないか。初日の4時間で結局何もできず次回に繰り越し。最初の日に、 長年ひそかに自信を持っていた美術に対するプライドはこっぱみじん!
 これはすごいことになった、しかしいいところに入れてもらった、がんばるぞ!というわけで悪戦苦闘、最初の立体の輪郭を描くだけで3週間、やっと 「いいでしょう、じゃあつぎは石膏の球と円錐立体、今度は影をつけてください」以後毎週行けるわけでもないが4カ月かかって、やっと3つ目の作品を製作中。 描いている途中で、一生かかっても会得しそうもない絵画のコツをどんどん教えていただき目が覚める思いがしばしばである。独学でなくってプロの人に 教わることがいかに大事であるかをヒシヒシと感じている。
 教室の生徒はセミプロの人、美術学校の卒業生、県展目指している人や主婦の方等色々な世代の人たちで、人物石膏を頑張っている人達から油絵を描いている人まで 色々。 結局教室の中で一番レベルの低いことをやっているのが何を隠そうこの私。週一回(月3回)、金曜の夜7時から11時までの4時間、みなさん私語も少なく黙々と 描いているがちっとも息苦しい雰囲気がない。「あー、みんな絵を描くのが心から好きなんだなー、みんな先生を尊敬しているんだなー」としみじみ思う。 間でコーヒーブレイクがあり、その時はみんな筆をおいて部屋の中央で先生を中心に集まって談笑、これがまた楽しい。
 自分はまだこのあと、いっぱいクリアしなければならない教程があり、実際油絵が描けるようになるのは1〜2年先だなと覚悟。しかし教室に入りまだ短期間であるが、 新しい絵の世界が自分の前に現れて自分の表現力、目の前のものを見る目が少しずつかわっていくような気がする。平凡な締めくくりの言葉であるが、毎週一回 教室に行くのを楽しみにしている今日このごろである。